医師INTERVIEW

「ありがとう」から始まる、
医療の原点と新たな挑戦

医療法人社団 三世会理事長

さいたま北クリニック

山岡 啓信

Hironobu Yamaoka

PROFILE

  • 島根医科大学医学部卒業

01なぜ訪問診療ネットワークを選んだのか

原点は「ありがとう」。
感謝に支えられた再出発

これまで心臓外科医として長く手術の現場に立ち、命を救うことにやりがいを感じてきました。患者さんが手術後に元気を取り戻す姿を見るのが何より嬉しく、この道一筋で歩んできましたが、ある時、自分の医師としての在り方を見つめ直す機会がありました。そのとき思い出したのが、子どもの頃に祖母から教わった「感謝の気持ちを忘れずに」という言葉でした。いつの間にか忙しさの中で見失っていた「ありがとう」の大切さに気づき、もう一度その気持ちを軸に医療に向き合いたいと思うようになりました。そんな時に出会ったのが訪問診療ネットワークでした。ここでは、患者さんやご家族と直接向き合いながら「ありがとう」を交わし合える。感謝があふれる医療の在り方に惹かれ、自分の原点にもう一度立ち返りたい、そう思って訪問診療を選びました。

02仕事のやりがい、魅力

命をつなぐ手から、
人生を見守る手へ

心臓外科から訪問診療に移っても、医師として大切にしている姿勢は何も変わっていません。違うのは、メスを置いて、言葉と関わりで人を支えるようになったことだけです。手術室では命を救うことが自分の役割でしたが、今はその人の生活を守り、その人らしく生きる時間を支えることが自分の仕事になりました。患者さんやご家族と直接顔を合わせ、日々の変化や思いを共有しながら、少しずつ笑顔が増えていくのを見ると、この仕事を選んで本当によかったと感じます。どの時期にあっても、人が自分の人生を楽しみ、全うしていく姿をそばで支えられることが、訪問診療のいちばんの魅力です。かつては命をつなぐ医療だったものが、今は「生きる」を支える医療へ。そうした一人ひとりの人生の時間に関われることが、何よりのやりがいです。

03働く上で大切にしていること

技術よりも心、人と人との
関わりが医療をつくる

日々の診療で一番意識しているのは、「病気だけを診ない」ということです。訪問診療では、患者さんの体調だけでなく、その背景にある生活環境や心の状態を理解することが欠かせません。診療の中では、病気の話よりも、趣味や家族の話をすることの方が多いくらいです。何気ない会話の中に、その人の生活のリズムや気持ちの変化が表れていて、そこから不調のサインに気づくことがあるからです。訪問診療では医師としての技術や知識よりも、人としてどう患者さんと関わるかが問われる場だと感じています。また、どれだけ経験を重ねても、学び続ける姿勢を忘れないことも大切にしています。医療は常に変化しますし、患者さん一人ひとりが教えてくれることも多いです。感謝の気持ちを持ち、謙虚に学び続けること、それが、医師としての自分の基本だと思っています。

04訪問診療ネットワークのおすすめポイント

つながりの中で磨かれる、
医師としての幅と深さ

訪問診療ネットワークの魅力は、やはり多くの仲間と学び合える環境にあります。組織が大きい分、さまざまな考え方や経験を持つ医師、スタッフと交流できる機会が多く、日々刺激を受けています。これまで自分の中になかった視点や、地域ごとの取り組みを知ることができるのは、とても貴重な経験です。情報共有の場も整っており、困ったときに相談できる仲間がいる安心感があります。小規模な組織では得にくい新しい発見や刺激を得られるのも、このネットワークの強みだと思います。若い先生にとっても、自分のペースで成長していける場所。お互いに支え合いながら、より良い医療を届けようという雰囲気がある職場です。

05これから挑戦したいこと

チームの力で、安心と
信頼の医療を育てていく

これからの目標は、医師やスタッフが無理なく働き続けられる環境を整えることです。訪問診療は患者さんに寄り添う時間が長く、やりがいのある一方で、負担も大きくなりやすい現場です。だからこそ、チームで支え合いながら質の高い医療を提供できる体制づくりを進めていきたいと考えています。カルテの書式統一やドクターズクラークの導入など、誰が担当しても同じレベルの診療を行える仕組みを整えることもその一つです。また、AIなど新しい技術を積極的に取り入れ、業務負担を減らし、心に余裕を持って患者さんと向き合える環境を目指しています。医師やスタッフが安心して働けることが、結果的に患者さんにより良い医療を届けることにつながると信じています。

06ご検討中の先生方へ

経験よりも、思いと行動。
まずは一歩を

訪問診療は、患者さんやご家族の生活に深く関わりながら医療を届ける仕事です。治療だけでなく、その人の人生を支える責任とやりがいがあります。最初は不安もあるかもしれませんが、このネットワークには支え合える仲間が多く、互いに学びながら成長できる環境があります。若い先生や経験の浅い先生でも全く問題ありません。訪問診療には幅広い学びがあり、学ぶ姿勢さえあれば誰でも成長できる仕事です。私自身、心臓外科から訪問診療に転じて多くの気づきを得ました。そして何より、恐れずにまず一歩を踏み出してほしいと思います。やってみないと見えないことがたくさんあります。どうなるかわからなくても、まず挑戦してみる。その勇気が、新しい道を切り開くはずです。私たちと一緒に、人に寄り添う医療をつくっていきましょう。