医師INTERVIEW
医療法人社団 黎明会
練馬東クリニック院長
鎌田 嗣正
Tsugumasa Kamata
01なぜ訪問診療ネットワークを選んだのか
大学卒業後は名古屋大学関連の病院で一般外科を学び、その後は消化器や乳腺外科を中心に経験を積みました。その後、国立がんセンターで呼吸器外科を専攻し、レジデント、チーフレジデントと経験を重ね、専門医を取得しました。その後、慶應大学関連病院でも働きましたが、家庭のことを考えて外科で忙しい生活を続けるかどうか大きく悩みました。結局、一度外科を離れて所沢の病院で回復期や高齢者医療、リハビリに携わることにしました。落ち着いた環境で家族との時間も増えたのですが、物足りなさも感じていました。そんな時、訪問診療ネットワークを知り、外科出身の先生が多く活躍しているとわかりました。入職のきっかけは、黎明会の理事長との出会いでした。心臓外科で活躍されていた先生が訪問診療の世界で新たな情熱を注ぐ姿に強く惹かれ、「手技で助けるわけではないけれど、やりがいは大きい」という言葉にも共感し、自分も挑戦してみようと決意しました。
02仕事のやりがい、魅力
訪問診療のやりがいは、患者さんやご家族の笑顔に出会えることです。自分の訪問を心から歓迎してくれる瞬間に、「この仕事をしていてよかった」と感じます。最初の頃よりも笑顔で迎えてくれる方が増えたと実感できるのが、何よりのモチベーションになっています。また、外科の時と同じように、見えない部分での準備や努力が結果として表れるのも、この仕事の面白さだと思います。そして、訪問診療の集大成は「看取り」だと思っています。基本的に看取りはすべて自分で行くと決めており、この1年で数十人を看取りました。そのうち行けなかったのはわずか2人だけで、ほとんどの最期に立ち会っています。看取りの瞬間には、それまでの自分の仕事ぶりがすべて表れる気がしています。悲しい場面でありながら、ご家族から「夜中に来てくれてありがとう」「母は先生に出会えて幸せだった」と涙ながらに言葉をいただくことも多く、そのたびに胸が熱くなります。家族ではないのに、温かい涙が出てしまう、それは訪問診療をしていなければ得られなかった、大切な経験だと感じています。
03働く上で大切にしていること
私が仕事をする上で大切にしているのは、「プロフェッショナリズム」と「安心を届けること」です。医師は専門的な知識や技術だけでなく、高い倫理観と責任感が求められる仕事です。恩師から教わった「プロである意識を持ち続けなさい」という言葉は、今も自分の指針になっています。訪問診療では、病院のような高度医療はできませんが、その分「この先生が診てくれるから安心」と思ってもらえることを大切にしています。診療前には入念に準備を行い、ほぼ完成したカルテを持って患者さんのもとへ向かい、「今日はここを確認しよう」と明確な課題を持って診療に臨みます。また、訪問診療は技術よりも人間力が問われる現場です。経歴よりも人柄が見られるからこそ、誠実に、丁寧に、真摯に向き合うことを心がけています。信頼を積み重ね、安心した笑顔を見せてもらえたとき、この仕事を選んでよかったと心から思います。
04訪問診療ネットワークのおすすめポイント
訪問診療ネットワークの魅力は、まずその「規模の大きさ」と「学びの機会の多さ」です。全国に多くの仲間がいるからこそ、さまざまな先生方の診療スタイルを直接学べるのは大きな強みです。私自身も埼玉や浜松など、他の地域の先生のもとで研修を受け、幅広い考え方ややり方に触れることで視野が広がりました。また、患者さん一人ひとりにしっかり向き合う姿勢を大切にしているのも、このネットワークの特徴だと思います。もちろん仕事としては大変な面もありますが、その分だけやりがいや責任感を持って取り組めます。医師が安心して働けるよう、体制の工夫やサポートも進められており、学びと実践を通して成長できる環境が整っているのが大きな魅力です。
05これから挑戦したいこと
これまで病院では役職経験はありませんでしたが、入職後すぐに院長を任され、スタッフをまとめるマネジメントのやりがいを感じています。今後はその経験を生かし、より大きな責任を担えるよう成長していきたいと考えています。
また、これからは訪問診療でできることをもっと広げたいと思っています。外科的な経験を生かし、在宅で可能な処置を増やしていきたいです。病院でしかできないと思われていた処置を訪問診療で実施できるよう挑戦しています。制度上の制約はありますが、「この医療が訪問でできれば患者さんや家族がもっと安心できる」という新しい挑戦を続けたい。その取り組みがクリニックの価値を高め、ひいてはネットワーク全体に広がっていくと信じています。
06ご検討中の先生方へ
訪問診療は決して楽な仕事ではありません。ですが、挑戦したい気持ちがある方、人間力を生かして患者さんに向き合いたい方には、これ以上ない環境だと思います。病院勤務では技術や専門性で評価されることが多いですが、訪問診療では人としてどう患者さんやご家族に寄り添うかが評価されます。困っている人のもとに駆けつけ、安心を届けられることがこの仕事の魅力です。私自身もこの仕事を始めてから「生き生きしているね」と家族に言われるようになりました。患者さんの最期の瞬間に立ち会い、ご家族と感情を共有できたとき、心から「医師になってよかった」と感じます。挑戦する勇気があれば、きっと新しい医療のやりがいに出会えるはずです。